Post記事
【前編】「Nextep」さんにインタビュー!Nextepが提供する就労移行支援事業とは?
「就労移行支援事業」や「就労継続支援B型事業」という言葉を聞いたことはありますか?
就労移行支援事業は、障害や難病などの理由で働けていない方に対して、一般就労を目指す上で必要な知識やスキルを身につけるためのサポートを行います。
そして就労継続支援B型事業は、障害のある方に生産活動を提供し、その作業の対価として工賃が支払われたり、社会との接点を持って働く機会を提供していくサービスです。
実は鳥取市にも、「就労移行支援事業所」と「就労継続支援B型事業所」を併設し、障害のある方が就職するためのサポートを行っている事業所があります。
鳥取市扇町にある「就労移行支援事業所・就労継続支援B型事業所Nextep」です。
ここでは現在、就労移行支援事業所に10名、就労継続支援B型事業所には14名の方が、就職に向けて、日々ワークを行っています。
今回は、具体的な支援内容や実際の就職実績などについて、Nextep代表取締役・杉原僚太(すぎはらりょうた)さんにお話を伺いました。
今回のインタビュー記事は二部制で構成されており、本記事(前編)では、「就労移行支援事業所」について紹介しています。
「就労継続支援B型事業所」については後編で紹介していますので、ぜひそちらもあわせて読んでみてください。
目次
就労移行支援Nextepの特徴と、支援内容は?
Nextepの特徴は、それぞれの利用者さんが抱える課題に対して適切な訓練を提供し、サポートをしている点です。
具体的な支援の内容でお伝えすると、たとえば「就職に向けてパソコンスキルの資格取得を目指したい」という利用者さんには、WordやExcelなどの訓練を通して、実際に資格取得できるまでをサポート。「コミュニケーションに課題を感じている」という利用者さんには、ディスカッションやスピーチの機会をグループワークという形で提供し、人前で話すための訓練を実施。
このように、利用者さんが抱えるそれぞれの課題を克服できるよう、一人ひとりに合わせた訓練を提供しています。
ーー決まったプログラムを組まれるわけではなく、利用者さん一人一人に合わせて支援内容を決めているんですね!
はい。中には、デザイン系の勉強をしたいという利用者さんもいて、そういった方には、イラストレーターというソフトを勉強してもらう場を設けています。
その他にも、簿記の勉強をしている方もいたり、あとは、グループワークで電話の取り方の練習をしたり。それぞれが抱える課題の克服はもちろん、挑戦したいことを後押しできるような場にもなっています。
ーーありがとうございます。利用者さんの1日の流れについても、教えてください。
利用者さんは、基本的に朝10時から夕方4時まで、事業所を利用されています。
ここについてもフレキシブルに対応しており、利用者さんによっては「午前だけ」「午後だけ」という方もいます。
その他にも、「毎日同じところに通うことが苦手で、課題に感じている」という利用者さんには、週2、3から徐々に通所日数を増やしていく、などのサポートもしています。
ーー訓練やワークだけでなく、通所の仕方や通所日数に関しても、個別で対応されているんですね。
そうですね。それぞれの利用者さんが抱える課題に対して、無理のない通所の方法を一緒に考えたうえで、一人ひとりに合わせた適切な訓練を提供し、就職に向けたサポートをしていることが、Nextepの特徴といえますね。
現在、定員としては10名で、ほぼ定員いっぱいという状態ですが、今後もっと利用者さんが増えてくれば、定員を増やす検討も必要だと考えています。
具体的な利用事例について
利用される方の中で多いのが、1度就職をしたけれど、職場で人間関係のトラブルなどが原因となり離職、それをきっかけに心の病気になってしまった、というケースです。
このような方に対しては、通所を通してスタッフや他の利用者さんと関わり、改めて人間関係の構築やコミュニケーションについて学んでいただきます。また、それと並行してWord、Excelの資格取得も目指します。
結果として、コミュニケーションスキルも向上したうえに資格も取得でき、一般企業に就職をした、という方もいらっしゃいます。
ーーなるほど。自らの課題克服に努めながら、実用的な学びも得られる。それが、結果的に就職へ繋がっているんですね。
就職実績と利用者さんの声
事業所は今年で3年目になるのですが、丸2年で6名の就職実績を出しています。
ーー丸2年で6名!定員10名と考えると、鳥取市内でもかなり実績が多い方なのでは・・・?
そうですね。鳥取市内には就労移行支援事業所がほかに3箇所ほどありますが、ここ2年の就職実績でいくと、うちの事業所が1番多いと思います。
要因のひとつとして挙げられるのは、私自身がIT関係の企業で働いていたこともあり、Nextepが”パソコン関係に強い事業所”として確立したという点です。
これまでも移行支援自体は鳥取市内に何箇所かあったのですが・・・パソコン関係に強い移行支援事業所としては鳥取市内ではNextepが初めてです。
一般就労を目指す方の多くは、事務職を希望されており、そういったニーズとNextepの特徴が合致した結果、就職実績を高めたことに繋がってはいるのかな思います。
ただ勿論、就職先は事務職に限らず、農業やレジャー施設、あとは金融関係など、幅広い業界で就職実績を伸ばすことができています。
ーー先ほどお話にあったように、利用者さんに合わせた支援があるからこそ、結果に出ているという部分もありますよね。
現状、利用者さんにはサービス自体とても喜ばれています。
就労移行支援というもの自体が鳥取にあまり浸透しておらず、そもそも知らなかった、という利用者さんが大半な中で、Nextepができたことをきっかけに、移行支援というものを知り、「こんないいところがあるのか」というようなことをおっしゃっていただくこともあります。
あとは、移行支援を利用することによって、資格取得を目指すきっかけになり、一緒に学習を進めていくことで実際に取得でき、それが就職に繋がったことで、「本当に移行支援を利用してよかった」という声もいただいています。
障害者雇用の課題と、目指す未来
鳥取市全体として、障害者の雇用についてもう少し積極的になるべきかなとは思っています。
実際にハローワークさん主催のイベントなどでは、5、60名の障害をお持ちの方が参加するんですけども、それに対しての受け入れ企業が圧倒的に少ないと感じています。
なので、今後は利用者さんの訓練内容の向上も勿論ですが、就職先の開拓というのがかなり課題になってくると思います。
ーー受け入れ企業側の認知、理解がまだあまり浸透していないということですか。
そうですね。ここは大きく2つあると考えています。一つは受け入れの意思とか計画はあるものの、実際どう動いたらいいかわからないというパターン。もう一つは、単純に障害をお持ちの方を雇用するという発想がないというパターンです。
ーーなるほど。雇用する発想がない、というのは、やはり先入観から来るものなのでしょうか。
先入観というか、「障害をお持ちの方がはこのくらいしかできないだろう」という考えがいまだにあったり、障害があっても一般の方と同様に働ける方も沢山いる、というのを知らなかったり・・・というのはあるかなと思います。
そこについては、実際はそうじゃないんだよということを、事業所としてももっと働きかけをしていかないといけないと思ってます。
ーー素晴らしいですね。障がい者の受け入れを考えている企業様に向けてメッセージがあれば、ぜひお願いします。
今、障害者の雇用というのを積極的に考えている企業様でも、具体的に雇用に向けてどう動けばいいかわからない部分が多いと思います。こちらに関しては、うちの事業所に質問いただければ、 色々と関係機関も紹介できますので、そういった企業様もぜひお問い合わせいただけたらと思います。
ーーありがとうございます。Nextepさんが考える、未来についても教えてください。
これからAIなどの技術が発展し、いろいろな仕事のあり方が変わってきます。そうなった時には、障害をお持ちの方が働ける場所や場面もかなり広がっていくと考えています。
具体的には、現状では障害をお持ちの方では難しいような業務内容も、最新のテクノロジーを活用することで誰でも簡単にできる作業や業務へと変化していきます。
そうなった時に、障害をお持ちの方の就労の機会というのはどんどん増えていくんじゃないかなと思っています。その機会を十分に活かして、多くの方が一般就労できる、そんな未来が理想ですね。
就労移行支援の利用を考えているみなさまへ
就職活動は本当に疲れることだと思います。なので、1人でやっていると、どうしても行き詰まることもあると思うんです。
Nextepではそんな方と一緒になって伴走していきたいと考えています。
一般就労を少しでも意識されている方には、是非1度、見学にお越しください。
就労移行支援事業所Nextep
施設名 | 就労移行支援事業所Nextep |
住所 | 鳥取県鳥取市扇町3番地 東栄ビル408 |
事業内容 | 就労移行支援、就労継続支援B型 |
受付時間 | 10:00〜18:00 |
電話番号 | 0857-32-7057 |
HP | https://bac-bac.com/ |